「漢方薬」という言葉は知っているけれど、それがどのようなものなのか実際にはよくわからないという人は多いのではないでしょうか。
「むずかしい名前の薬が多くてわかりにくい」、「一般の薬にくらべて効果が弱いのでは」というイメージをもつ人もいるようです。
そんな人のために、まずは「漢方」と「漢方薬」について簡単にご説明します。
「漢方」とは、中国で生まれた中国医学(中医学)が日本に伝わり、長い歴史をかけて日本で独自に発展した医学です。
その漢方の考え方に基づいて作られた薬を「漢方薬」といいます。
漢方薬には自然の生薬(植物、動物、鉱物など天然のもの)が使用され、それらの生薬をいくつか組み合わせて作られます。
同じ病気や症状でも、その人の体質や個体差を重視して、ひとりひとりに適した処方を行うのが漢方の特徴です。
効果・効能に「便秘」と書いてあっても、自分の体質にあったものでないと逆効果になることもありますので、自分の体質・便秘のタイプを知ることが非常に重要です。
5つのうち、あなたはどのタイプ?
漢方では、体質の強弱を「虚証」と「実証」に分けて考えます。
・虚証(きょしょう)…虚弱体質で、胃腸が弱く栄養状態が不良。痩せていて体力がない。
・実証(じっしょう)…活動的で頑健。胃腸が丈夫で栄養状態が良い。筋肉質で体力がある。
・中間証(ちゅうかんしょう)…虚証と実証のどちらにも偏らない、中間的なタイプ。
また、便秘のタイプを以下の5つに分けて考えます。
①熱秘
原因;辛いもの・脂分の多い食事、お酒の飲みすぎなどで胃腸に熱が溜まります。
その熱が胃腸の水分を蒸発させ、便が乾燥し便秘となります。
症状;数日間の便秘、便が硬い、お腹が張る、腹痛、ガスが多い、のぼせ、イライラする、口が乾く、尿が濃いなど。
②気秘
原因;ストレスや不安、環境の変化などが原因で自律神経が緊張すると、腸も緊張して蠕動(ぜんどう)運動がうまく行えず便秘になります。女性の便秘で一番多くみられるタイプです。
症状;便が細い、スムーズに出ない、残便感がある、お腹が張る、腹痛、ガスやゲップが多い、イライラする、怒りっぽい、憂鬱など。
③冷秘
原因;冷たいものを摂りすぎて胃腸が冷えると、腸の動きが低下して便秘になります。
症状;便秘の症状以外に、冷え、夜間頻尿、活気がなく顔色が悪い、お腹が冷えて痛む、背中や腰が冷えてだるいなど。
④気虚
原因;過労、病気や産後、加齢などにより体力を消耗している状態です。腸の動きが低下し、便を送り出す力が不足して便秘になります。
症状;便が出にくい(硬い便がコルク栓のようになっていて、それが出てしまえばあとは軟らかい排便がある)、発汗、息切れ、だるい、立ちくらみなど。
⑤血虚
原因;出血(生理、お産、手術など)が原因で体内の血液が少なくなると、腸管内の潤いが失われ便秘になります。
症状;コロコロ便、皮膚につやがない、唇や爪の色が薄い、爪がもろい、めまい、立ちくらみ、動悸、不眠など。
便秘に使われる漢方一覧
便秘に使用される漢方薬と、適応する体質・症状をまとめました。
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
体質:実証・熱秘
症状:のぼせ、口が渇く、頭重感、吹き出物
便の状態:便が乾燥し、硬くなっている。
特徴:腸の動きを活発にして排便を促す。
とくに、不規則な生活習慣などで腸の動きが弱くなる「弛緩性便秘」によく効く
大柴胡湯(だいさいことう)
体質:実証・気秘症状:吐き気、嘔吐、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り
便の状態:吐き気、嘔吐、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り
特徴:体の内にこもった熱や炎症を抑えることで、高血圧や便秘をやわらげる。ストレスでイライラする気持ちを落ち着け、「気」の巡りをよくする。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
体質:実証・熱秘
症状:のぼせ、月経不順、高血圧、精神不安
便の状態:便が乾燥し、硬くなっている。
特徴:腸の動きを活発にして排便を促す。「血」「気」の巡りをよくし、イライラや精神不安を鎮める。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体質:虚証・血虚
症状:貧血、めまい、動悸、月経不順
便の状態:コロコロ便
特徴:「血」の巡りをよくすることで体を温め、冷えを解消する。胃腸の動きをよくし、体内の余分な水分を排出する。
麻子仁丸(ましにんがん)
体質:虚証・血虚
症状:のぼせ、頭重感、食欲不振、吹き出物、痔
便の状態:コロコロ便
特徴:腸内をうるおし、便を軟らかくする。皮膚にうるおいを与える効果もある。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
体質:実証・熱秘
症状:むくみ、のぼせ、肩こり、頭重感
便の状態:便が乾燥し、硬くなっている。
特徴:体の熱を冷まし、水分の循環を改善して便通を促す。肥満症や、高血圧にともなう肩こり・のぼせを改善する。
乙字湯(おつじとう)
体質:実証~中間証・血虚
症状:切れ痔、イボ痔
便の状態:コロコロ便
特徴:肛門周辺の炎症をやわらげ、血流を改善する。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
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体質:虚証・気秘
症状:しぶり腹、腹部膨満感、腹痛
便の状態:頻繁に便意をもよおすのに便が少ししか出ない。
特徴:強いストレスで大腸が過敏になり、頻繁に下痢や便秘をくり返す「過敏性腸症候群」に効果がある。
人参湯(にんじんとう)
体質:虚証・冷秘
症状:食欲不振、胃もたれ、胃痛
特徴:体を温め、胃腸の機能を改善する。
加味逍遙散(かみしょうさん)
体質:虚証・気虚・血虚
症状:のぼせ、頭痛、肩こり、精神不安、生理不順
便の状態:便が出にくい、硬い便が出た後に軟らかい便がでる。
もしくはコロコロ便。
特徴:肝臓の働きや「血」の巡りをよくする。自律神経を整え、気分を安定させる。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
体質:虚証・気虚
症状:食欲不振、夏バテ、疲れやすい、精神不安
便の状態:便が出にくい、硬い便が出た後に軟らかい便がでる。
特徴:消化機能を促進し、胃腸を丈夫にする。気力・体力を回復させる。妊娠中でも使用できる。
潤腸湯(じゅんちょうとう)
体質:中間証~虚証・血虚
症状:慢性化した便秘
便の状態:コロコロ便
特徴:便を軟らかくして排便を促す。
通導散(つうどうさん)
体質:実証・気秘
症状:生理不順、頭痛、めまい、肩こり、頭重感
便の状態:頻繁に便意をもよおすのに便が少ししか出ない。
特徴:「血」の巡りをよくすることでホルモンバランスを整え、女性特有の症状(生理不順、更年期障害など)を改善する。
調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
体質:中間証・熱秘
症状:口が渇く、腹部膨満感
便の状態:便が乾燥し、硬くなっている。
特徴:胃腸の働きをよくし、排便を促す。
大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
体質:実証・熱秘・気秘
症状:下腹部痛、生理不順
便の状態:便が乾燥し、硬くなっている。
特徴:「血」の巡りをよくし、熱や炎症を取り、排便を促す。ホルモンバランスを整える効果もある。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体質:実証~中間証・気秘
症状:精神不安、不眠、動悸
便の状態:頻繁に便意をもよおすのに便が少ししか出ない。
特徴:解熱鎮痛作用とカルシウムによって精神を安定させ、胃腸の働きを整える効果がある。
注意点
出典:http://eikaiwa-highway.com/
漢方薬を使用するうえで注意してほしいことが、いくつかあります。
服用は食前が基本
漢方薬は食前に飲むものが多いのですが、これは食事の成分が加わって生薬のバランスが変化するのを防ぐためです。
漢方薬にも副作用はある
漢方薬の材料となる生薬は植物・動物・鉱物など天然のものですが、絶対に安全ということはありません。
軽い副作用として、胃もたれ・食欲不振・眠気などがあります。これらは服用を食後に変える、服用回数を減らすことで改善します。
重篤な副作用として、偽性アルドステロン症(手足のしびれ、こわばり、脱力感、高血圧、むくみなど)・間質性肺炎(咳、息切れ、発熱など)・肝障害(だるい、食欲不振、吐き気、発疹、かゆみ、黄疸など)があります。
処方された用法・用量を厳守し、副作用と思われる症状が出た場合は早めに医師の診察を受けましょう。
まとめ
漢方薬は一部の人が服用する特別なものではありません。
一般的な病院で行われている治療(西洋医学)が「病気そのものを治療する」ための医学であるのに対し、漢方は「その人の体調・体質・病気の原因などを総合的に診て、人間の自然治癒力を高める」ための医学といえます。
とても自然で、人間的だと思いませんか?
ぜひ漢方を身近なものとして活用してみてください。
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